かねてから気になっていた「
ミロンガ ヌォーバ」というミロンガへ行ってみました。ミロンガとはいろいろな意味があるんだけど、場所的な意味をさす時はタンゴが聞けて踊れる社交場、という感じだけど、フォーマルなものから場末っぽいものまで、みーんなミロンガな気がします。アルゼンチンはブエノスアイレスは、さすが発祥の地だけあってミロンガだらけですな。だからポルテーニョ(ブエノスアイレスっ子)にとってはとても身近なタンゴカフェバーみたいなものなんじゃないでしょうか。神保町にもちろんドレスなんかきて行かなくてよいようなフランクなミロンガがあると聞いていたので行ってみたかったのです(ブエノスアイレスには気取ったところよりこういうところの方が多いと思う)。しかもものすごく歴史のあるところで、今のおじいさん世代が若い頃に通ったりしていたらしく「30年ぶりにきたよ」とか普通なんだそうです。すごすぎ。
中の雰囲気もすごーく落ち着いていて、薄暗い中にタンゴがかかっている。しかもカウンターをのぞきこんだら、レコードだった!!古ぼけたボール紙に入っているタンゴのレコードがずらり。最近レコードをこうやって鑑賞することなんてなくなっていたので、かなりイイ感じです。壁にはブエノスアイレスの写真や、アート作品が飾ってあり、お客さんもほとんど一人客。一人できて自分のお気に入りの場所に座ってじっくり本を読むような。そしてちまたのチェーン店の喫茶店などではお見かけしないような、紳士的叔父様達が結構くつろいでいらっしゃいました。雰囲気抜群。もちろん若い人(といっても30代ぐらい?)も居ましたが、なんか独特の雰囲気をもっている落ち着いた方々というかなんというかそんなかんじで、かなり和みました。
ミロンガなので夜がメインと言えばメインなのだろうけど、昼間はカフェとしてかなりいい雰囲気で落ち着きます。ランチと言えそうなメニューも2-3種類ですがあったような(ジャンバラヤとか)。私は「マグ・キャッネーラ」という珈琲を注文。イタリア系アメリカ移民が西部開拓時代に飲んでいたスタイル、と書いてありました。珈琲自体はすごく深く濃厚な味で、それにシナモンがはいっていて、ホッとする一杯でした。
お店を出るときに、ちょっと気になっていた質問をお店のオーナーにしてみた。お店の名前がカタカナで「ミロンガ ヌォーバ」とだけ書いてあったらそれはそれで名前として気にならなかったと思うのだが、スペイン語で「Milonga Nueva」とも書いてあったのだ。最後のNuevaはスペイン語読みをカタカナにすると普通は「ヌエバ」になりますが、どうしてここのお店ではわざわざ「ヌォーバ」にしているのだろうかと。それを聞きたかったのだけど、オーナーは「ヌォーバとは”新しい”という意味ですが・・・」という。nuevaが新しいという意味なのは知ってるんだよ〜。そうじゃなくて、どうしてそういうカタカナ表記になっているかを聞きたいのだ。オーナーは若い女性で最近引き継いだみたいなのでしょうがないはしょうがないのだけど「えーっと、たまたまだと思います・・・」との回答・・・。私、なんか自分の店の名前をきちんと説明できないお店ってなんとなくやだなー。私はこのミロンガが歴史があるから、昔の外来語表記って定まってなくて面白いものが沢山あるじゃない?で、「ヌエバ」も早く言えば「ヌォーバ」にも聞こえるし、「ヌエバ」よりは「ヌォーバ」の方がこういう雰囲気のあるお店にはふさわしいような気もするので、そういうこだわりがあってのことかと想像していたのだけど。ここ、とても雰囲気があって落ち着くし、他はとてもよかっただけに、最後がちょっと残念でした。
PR