ベリーズでは英語が公用語だけど、メスティソ系の人も多く、スペイン語もかなりの確立で耳にする。私もはじめは英語で話していたのだけど、そのうち、顔を見て「あ、この人にはスペイン語だな」という感じで分けて話すようになった。でも、しばらくたって、どうみてもメスティソ系なのにスペイン語で話しかけても英語で返してくる人がいることにも気づいた。どうもスペイン語を理解しているのだけど、出てこない様子。そんなことを思っているときに出会ったのがファビオラさん(仮名)。ファビオラさんもその一人で、絶対この人はスペイン語と思って話しかけたら英語で返ってきたので、どんなかんじなのか聞いてみた。
ファビオラさんは30代で、ご主人と子供がいる。ご主人も同じメスティソ系なのだけど、ファビオラさんもご主人もベリーズで生まれ育ったため、学校教育がすべて英語だった。そのためお互い顔はメスティソでも2人の会話は英語。ファビオラさんのお父さんはメキシコのユカタン半島から、お母さんはグアテマラから渡ってきたらしいので、ご両親同士はスペイン語。ファビオラさんが子供のころは家庭でスペイン語だったが、やはり兄弟間は英語になってしまったそう。ファビオラさんのお母さんのお母さん、つまりファビオラさんのおばあさんは、メスティソでもなく、グアテマラのインディオなため、マヤの言葉しか話さない。お母さんはおばあさんの言葉を理解はできるみたいだけど話せはしない。ファビオラさんにいたってはおばあさんは何を話しているかわからない。余談だけど、おばあさんはマヤの伝統を守り「女性は靴をはかない」というポリシーを貫いているらしく、国境を越えてベリーズまで訪ねてきてくれたときも裸足で来たらしい。道中長かったでしょうに。
ファビオラさんとご主人の家庭にできた子供世代はやっぱり英語になってしい、このスペイン語を理解すらできない状態になりつつあるらしい。なので、ファビオラさんもご主人も、自分たちのルーツの意識が芽生え、子供にはスペイン語を話せるようになってほしいらしい。
一世代ごとに夫婦間言語がめまぐるしく変わっていく複雑な言語事情ですな。
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