「東海道」という響きはなんかステキな感じがする。なんだか浮世絵の世界の東海道五十三次が思い出されるノスタルジックでもあり、現代から見れば逆に新鮮な日本の昔話が目に浮かんだりもする。tou-kai-douという、子音母音母音x3のリズムの良さもそれを引き立てているに違いない。
飛行機や新幹線で関西までひとっ飛びするのは簡単だが、通常のローカル電車にのってじわじわ関西にたどりつくのも、またこれがオツである。乗り降りするのは通常その電車を利用している地元の人たちなので、そういうものを乗り継いでいくとゆっくりと文化がかわっていくのが伝わってくる。
東京から静岡まではあまりにも爆睡してしまい、富士山もいつ通り過ぎたのかわからないほどだったが、静岡をすぎてちょっといくと、電車にのってくるおばさんたちが「あ、ここ、あいとる、あいとる!」と言って空席めがけて歩いてきた。東京でそういう場面であれば、「あい”て”る」になるわけで、その小さな違いが逆にほほえましく、ああ、普通の電車にのっているのに、いつの間にか違う言語圏まで入ってきたのだなぁという興味のセンサーが働く。たくさんのお金をつかって、いきなりなにもかも違う異文化にぽんと入ってしまうよりも、こういう小さな違いに知らぬ間に足を踏み入れてしまうほうが、むしろ新鮮にさえ感じた。
体の調子が悪かったので、静岡の焼津と岐阜の大垣で駅のお手洗いに行ったのだが、びっくりしたのが、駅のトイレなのに、なんと改札の外にある!これじゃぁ、駅を利用しない人もつかえるだろうし、東京なんかだと犯罪や麻薬の温床になりかねないから、ちょっとありえない設置だと思う。そんな心の広いトイレ(?)にしばし感動し、しかも外にあるのに結構きれいで紙もちゃんと配備されているところにのけぞりもした。
途中、静岡県を通る電車の中で静岡県警の募集広告をよく見かけた。私が見ないだけかもしれないが、東京ではこういう募集ポスターってあるのだろうか?自衛隊のならみるけど。そもそも、ニュースとかで○○県警というのは聞くが、東京都警というのは聞いたことがない。私が無知なだけで、きっとあるんだろうけど??まぁ、それはいいとして、その静岡県警の募集の試験内容に「柔道・剣道」とあるが、これはわかる。でもその上の「ポルトガル語・北京語」というのにはびっくりした。警察官も語学が要求される時代なのね、と日本の未来が楽しみにもなったりした。静岡県ではブラジル人や中国人が多いから、ポルトガル語・北京語という選択になっているのだろうけど、他の県の県警試験ではどうなっているのだろう?その県に多い外国人の言語が反映されていたら面白いなぁ、と思ったりして。
あと、いまやテロ防止のため東京の地下鉄にはなくなってしまった「構内のゴミ箱」がある駅が多かったような気がする。東京でもJRの駅にはあるのかもしれないけど。
これは東京でどうだったかはっきり思い出せないんだけど、ちょっと違和感があったのは、路線でどこの駅に止まるかというアナウンス。たとえば、東京行きの中央線だとしたら、「この電車は東京行きです。停車駅は○○駅、○○駅、○○駅、終点東京駅まで参ります」のようなアナウンスが東京ではあったような気がする。なにがポイントかというと、次々と駅名を読み上げる最後に、終点の駅まで言うところである。でも、東海道で西に向かっていると、どこの駅からだったか、駅名読み上げの最後は、終点の1個前の駅までしか言わないようになった。たしかに上のアナウンス例では、はじめに「この電車は東京行きです」といっているため、終点は東京だということは最初に言っていることになるわけで、もう一度言う必要はない、という理論のため省略されているのかもしれない。でもそれに慣れてしまっていた私としては、もう一度ちゃんと終着駅まで繰り返してもらわないと「あれ?その駅まで行かないのか?」という気分で何度も再確認しそうになった。
東京から関西空港に着くまで11時間もかかったはずなのに、上記のことをみたり考えたりした時間や乗り継ぎ以外は、いつのまにかほとんど睡眠にあけくれていて、長旅でぐったりしたというよりも、むしろ十分な睡眠時間が確保できて非常にスッキリしてしまった。青春18キップを1日分2,300円で譲ってもらってそれだけを使ってきて、しかも関西空港についたところで、空港から市内に向かおうとしている女の子に声をかけた。彼女はJRで1,150円ぐらいのところの家まで帰る予定だったので、今日中はまだ使える私の18切符を500円で譲った。彼女はかかるはずだった金額の半額以下で家に帰れることになってとても喜んでくれ、当の私は2,300円-500円で、1,800円で東京から関西空港まで来られてしまった。道中面白かったし、最近あまり寝ていなかったので睡眠も取れたし、お金もかからず、一石三鳥でしたな。
彼女からもらった500円で、関西空港のシャワー室を利用してみた。15分500円なんだけど、お湯を出している時間だけカウントしてトータル15分のところで終わるので良心的である(お湯を止めればタイマーもとまってくれる)。各国の空港のシャワー室って、ラウンジなんかだと20ドル以上はするだろうし、韓国でさえ空港の銭湯が8000ウオン(800円ぐらい)以上はしたような記憶がある。15分というリミットつきとはいえ、空港でさっとシャワーが浴びられて500円というのは、物価の高い日本でありながら、世界的にみても結構お得だと私は思う。しかもシャワー室が無人で機械化されているので、一人終わるごとにシャワー室を丸ごと洗浄してくれるので、次の人も気持ちよく入れる。日本人よりも外国人の人たちがいっぱい利用していました。
関西でお好み焼きが食べたいなーと思ったのだが、駅の近くでは東京にもあるようなチェーン店ばかりが目に付いて残念。日本食食べ収めは担々麺にするか。
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