コズさんは山奥の自分の住居の鍵がみつからないとラルバを出る前に言っていたのだが、「大家さんのご近所かなにかのところにスペアがあるでしょう」ということでいつもコズさんがお世話になっているうちによった。そうしたら、そこ娘さんも、スペアがないということで、コズさんの住居には入れないことになった。なので特別に、まさにその家に泊めてもらうことに。コズさんは「こんな山奥まで来てもらったのにごめんねー」と謝ってくれたのだが、私としては予期せずベルベル人の家庭にとめてもらうことになって、こんな貴重な体験ができてむしろうれしいハプニングだったりして。
暖かく迎えてくれたそのうちの娘さん、ファティマ。
客間に通してくれて、お茶をいれ、パンをいただきました。つけて食べたオリーブオイルがまたこれ、自分たちでじっくり絞ったようなまろやか~な青みのある味で劇ウマ。パンも、ティゲドゥインのパンは小麦粉自体がほんのり甘いのか、もちろん甘みなんていれていないのにまろやか~な味がします。私はこれが食事だと思って、ありがたいありがたいと本気で食べてしまったのですが、どうやらおやつだった模様。
それにしても、電気がないので、窓から差し込む光だけに照らされるファティマがあまりにもうつくしい。ファティマのお父さんもそういう状態でとても絵になったのだけど、あまりにも見とれてしまい、写真をとらせてもらいそびれた。それにコズさんの住む地域であまり問題も起こしたくなかったので、写真写真というのもどうかなーとも思い、普段より写真は控えめに・・・。でも、この光景は、なんというか、ヨーロッパのルネッサンスとか印象派とか(よくその辺わかりませんが)、昔の絵画みたいな雰囲気が出ていた。現実というよりはあまりにもクラシックな絵の中にいるようで、不思議な感覚だった。ああいうヨーロッパ絵画が生まれたころも、こんな風に電気がない時代だったのだろうな、そうじゃないとこの感じは出ないだろう、と思ったりした。
お食事はクスクスをご馳走になりました。あとで7joくんに聞いたら、通常クスクスは金曜日にしか食べないんだそうで、私たちがきたから特別におもてなしをしてくれたのかもしれない。野菜とうさぎの肉のクスクスだったんだけど、鶏肉かと思って食べていて「うーん、さすが、こうやって蒸したように煮込むとこんなに鶏肉もしっとりおいしくなるのねー」と思っていたらうさぎだった。こんなにうさぎがおいしいなんて知らなかった。この前も書いたけど、うさぎの肉の量って、このくらいの人数で食べるにはちょうど残さず全部食べられるいい量だと思う。夜になるとガスがはいっているタンク?から照らすランプのようなもの(ブタガス)を出してくれましたが、こういうものはものすごく高そう?なかんじも・・・。私たちは客間に2人だけで泊まれたんだけど、コズさんによると、こういう客間があるようなうちは本当にめずらしいんだそうです。話はコズさんがベルベルの言葉を駆使して通訳してくれたので、いろいろ話せて楽しい。
食事の後、ファティマが客間に来てコズさんと3人でおしゃべり。ファティマはカバーをあらったクッションを、再び縫い直しながら。カバーを洗うたびに縫い直さなくちゃいけないなんて大変ー、ファスナーにすればいいのに?とかいう理屈はここにはない。でも手馴れたもので、さっさと何個もクッションを直しおわる。ガールズトーク?などに花が咲く。ここの女性たちはけっこうピルを服用しているという事実に驚いたりして。こんな山奥で電気もない集落なのに!でも子供を生み始めると、相当な数生むみたいです。10人とか普通?
ファティマが自分で作ったというベルベル絨毯を見せてくれた。アラブ絨毯とは違うらしいのだが、全体的に赤色で、毛足が長い。ふかふかしてきもちいい。
これだけ財のあるおうちでも、この辺の集落の習慣なのか、おうちにはトイレがありません。なので、汲んできた水で歯磨きや顔をちょろっと表せてもらったあと、寝る前の「野トイレ」に行きました。ファティマが案内してくれて「ここ」といったところは、フツーの道端の脇で、ぜんぜん隠れていなかったのですが・・・。でも外がもう真っ暗で、星の明かりしかない中、自分たちもよく見えない状態なので見る人はいませんが。それにしてもここの星空はすばらしい。プラネタリウムなんかよりずっと星の数が多いんじゃないかなぁ。ここだと星の数が多すぎるので、離れた星と星をつないで「星座」なんて発想は生まれないかも?なんて思ってしまうほど。そんな零れ落ちるほどの星空の下での野トイレは妙にスッキリ。げりピーだったので、夜中にも一度おきて「野」に行ったのだが、げりピーでおなかが痛くて心地悪いのも、満点の星空に癒されるようでした。
夜遅くまでコズさんといろんなことを語り合えたのもステキな思い出。コズさんはとっても心がきれいで気が利いてしっかりした人で、こんな人とお友達になれて幸せです。私にも赤ちゃんができる日には、コズさんに取り上げてもらいたいなぁ、と思うほどの信頼感が私の中には生まれましたよ。コズさんのおかげでいろいろなことが体験できて、本当にどうもありがとう。コズさんと出会えてよかったです。
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